日本の歌はおもしろい

われは海の子

作詞:宮原晃一郎 作曲:未詳 文部省唱歌 明治43年(1910年)

歌詞

われは海の子白浪しらなみ
さわぐいそべの松原に、
けむりたなびくとまやこそ
がなつかしき住家すみかなれ。

生れてしおゆあみして
なみを子守の歌と聞き、
千里せんりせくる海の
いてわらべとなりにけり。

高く鼻つくいその
不断ふだんの花のかおりあり
なぎさの松にく風を
いみじきがくわれは聞く

解説

作詞さくしの宮原晃一郎さんは北欧ほくおう文学の翻訳ほんやく者であり、童話作家です。歌詞かしの中の海は宮原さんが生まれ育った鹿児島湾かごしまわんと言われています。もともとの歌詞かしは7番までありますが、4番以降いこうはかつての日本海軍の勇ましさをたたえる軍国的な歌詞かしなので歌われなくなりました。

とまや=とま(むしろ:すげかやなどで編んでつくったもの)を屋根にしている粗末そまつな家
いそべ=岩の多い海の波打ちぎわ
しおにゆあみ=海水を産湯として、生まれたばかりの赤んぼうあらうこと
わらべとなりにけり=どんどん成長していく様、少年に成長した
千里せくる=遠くはなれたところからせてくる
いみじき楽=素晴すばらしい音楽
不断ふだんの花=ほぼ一年中花をつけている「不断桜ふだんざくら」、または「不断草ふだんそう」。若葉は季節に関係なく食べられることからこの名前があるそうです。