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うさぎ野原は今、春の花が咲き乱れています。れんげ、たんぽぽ、すみれ、ひめじょおん、からすのえんどう・・・お花畑の中を白いうさぎがかけて生きます。たんぽぽの綿毛をおいかけてるのかしら ?

 


わたしの名は、うさぎ。広い広い、このうさぎ野原で、たった一匹(ひとり)住んでいる。
いつからここに住んでいるかと言えば、もうずっとずうっと昔から。気の遠くなるほど、はるかな昔からここで暮らしてきたので、今では自分の年齢(とし)がいくつなのかさえ忘れてしまった。
わたくしの仕事は、このうさぎ野原に咲く、季節の花たちの世話をすること。
ここには、花の種類が数えきれないほどある。だから、春も夏も秋も冬も、いつでも何かの花を、この野原では見ることができる。
わたくしの仕事は、花の世話をすること。
だが、ただ種をまいたり水をやることばかりが仕事なのじゃない。
わたくしにとって、もっとも大切な仕事、それは、それぞれの花たちに、
気もちのよくなる「歌」を作ってうたってやることなのだ。
わたくしの歌を聴(き)いた花たちは、たちまちのうちにキラキラと輝きはじめる。
そして、いちだんと美しく、いっそうたくさんの花びらを開かせることができるのだ。
ある花は、さらに鮮(あざ)やかに豪華に。またある花は、ひときわ可憐に上品に…。
季節がめぐり行(ゆ)くたびに、うさぎ野原では、新しい花たちへの歌が生まれている。
さて、今日はこうして、うさぎ野原を訪(たず)ねてくださったキミにも、新しい春の歌を、ひとつご披露するとしよう。耳を澄(す)ませて、よく聴いてくれたまえね。
えっ、音なんか、何も聴こえてこないって?
いやいや、そんなことはない。キミの心の中にある「うさぎ耳」をピンと立てれば、きっときっと、わたくしのステキな歌声が聴こえてくるであろうよ。


うさぎの歌 その1 

れんげ
ぶとうかい舞踏会のじゅうたんふ踏んで
おど踊りましょうすてきなワルツ
おうじさま王子様はしろつめぐさ草の
ホラ、かんむりかぶってあらわれた
あかむらさき赤紫じゅうたんのうえ上
ガラスのくつがワルツをおど踊る
しろ白いドレスふ踏まないように
サァ、やさしくステップく繰りかえそう




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